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「人が足りないから…」では危険!育成就労制度を間違った目的で使うと必ず失敗します!

更新日:6月24日

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最近、「人手不足の解消のために育成就労制度を使いたい」という企業様のお声をよく耳にします。特に中小企業や地方の事業者様にとって、慢性的な人材不足は本当に深刻な課題ですよね。しかし、“とりあえず人を確保したい”という理由だけで育成就労制度を利用すると、むしろ大きなトラブルに発展してしまうことがあるんです。


そこで今回は、「なぜ人手不足目的の育成就労活用が失敗につながるのか?」という点について、しっかりとお話しさせていただきます。育成就労制度を正しく理解し、活用するためのヒントにもなれば幸いです。


結論から申し上げますと、育成就労制度は“単なる労働力の穴埋め”には使えない制度です。この制度の根本的な目的は、あくまでも外国人を育成し、日本の技術や知識を学ばせること。「人が足りないから、すぐ働ける人がほしい」といった目的で利用すると、制度の趣旨に反してしまい、最終的に監査・指導・取り消しのリスクまで生じてしまうのです。


では、なぜ人手確保を目的に制度を使うと失敗するのか?

その理由を、具体的にご説明いたします。

まず第一に、育成就労制度は“育成計画”が義務づけられている制度だという点が挙げられます。この制度は単なる雇用ではなく、「技術・技能・知識の育成」という目的が中心です。そのため、教育担当者の配置、指導体制、段階的な能力評価、育成記録などの準備が必要になります。


「現場は忙しいから、とにかく作業に入ってもらえばいい」と考えてしまうと、指導体制の不備や記録の未整備が問題となり、制度違反に問われる可能性があるのです。


次に、言語・文化の壁を軽視してしまうリスクも大きな要因です。「誰かが見ていれば大丈夫」「簡単な作業だから教える必要はない」と油断してしまうと、意思疎通が取れず、作業中のミスや事故につながることもあります。また、外国人労働者本人のメンタル的な負担も増し、離職・帰国トラブルが起こるケースも少なくありません。

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さらに、育成就労制度では適正な労働環境が求められるため、ただ“働かせるだけ”ではダメなんです。例えば、残業の扱い、休日の確保、安全衛生管理など、日本人労働者と同様の管理が求められます。「忙しいから仕方ない」「人手がいないから少しくらい我慢してもらおう」などの意識があると、制度全体を危うくするリスクにもなりかねません。


ある建設業の経営者の方は、最初こうおっしゃっていました。

「人が足りなくて、技能実習制度を導入すればすぐに人手が補えると思っていたんです。でも実際には、計画の作成や指導体制の整備が大変で、思ったより手間がかかりました。また、外国人の方とのコミュニケーションもうまくいかず、途中で辞めてしまう人も出てしまいました。今思えば、ちゃんと制度を理解してから受け入れるべきだったと反省しています。」


このように、目的や準備を間違えると、結果的に企業側も外国人労働者側も大きなストレスを抱えることになるのです。制度は「人手確保のための近道」ではなく、「人材育成を通じた長期的な戦力づくり」だと考える必要があります。


ではどうすれば、育成就労制度を正しく活用できるのでしょうか?

まず大切なのは、「即戦力」ではなく「育成対象」であるという意識を持つことです。最初から完璧に働ける人を求めるのではなく、“丁寧に教えることが前提”であると理解して取り組む姿勢が求められます。


また、監理団体や登録支援機関としっかり連携し、制度の運用ルールを学び、定期的な見直しを行うことも非常に大切です。日本語教育のサポートや、職場での文化理解を促進する取り組みなど、実習生・就労者を“チームの一員”として迎え入れる環境づくりが、長期的な成果に結びつきます。


「人手が欲しい」…そのお気持ちはとてもよくわかります。しかし、焦って育成就労制度を“労働力確保の道具”として使ってしまうと、企業にとっても、働く側にとってもマイナスになってしまう可能性が高いのです。


“育てる”という姿勢で臨むことが、結果的に安定した人材の確保と組織の成長につながる――それが、育成就労制度の本来の価値です。


制度を活用する際には、ぜひこの視点を忘れずに、しっかりと準備と理解を深めた上で取り組んでいただければと思います。私たちも、外国人就労の現場がよりよいものになるよう、今後も全力でサポートしてまいります。



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